目次
TD-4Vはクロック周波数570MHzまで動作する16ビットディジタルタイミングディレイです。
VME1幅のモジュールです。
- 外観
VME 1幅 ダブルハイト
- パネル面
- DEC LED
VMEアクセスがあったとき点灯(0.5s)
- STA LED
スタート信号があるとき連続点灯
- INH LED
Inhibit信号が入っているとき連続点灯
- OUT LED
出力が出ているとき連続点灯
- Delay表示
設定されているdelay値を表示します。10進表示で0(ERROR)から65535までです。
- UP/DOWNスイッチ
マニュアルでdelayを変えるとき使います。UPでdelayが大きくなります。設定できる範囲は1から(clock/start -2)までです。例えばCLOCKが508MHz入力、スタートがそれの5120分周信号(〜100kHz)だと1から5118までです。
- FAST/MID/SLOWスイッチ
マニュアルでdelayを変えるスピードを設定します。
- CLK入力 QLA-P 50Ω
RF入力を入れます。レベルは-5dBm〜10dBm程度です。基本的に500MHz帯用に調整されていますので、他の周波数で使用するときは回路調整が必要です。
- Wck
現在使用していません
- STA入力 QLA-P 50Ω
スタート信号を入れます。NIMレベルで、立ち下がり動作です。
- INH入力 QLA-P 50Ω
inhibit信号を入れます。NIMレベルでLowでInhibit、highでinhibit解除です。使わないときはopenでかまいません。
- OUT1、OUT2出力 QLA-P 50Ω
遅延出力です。NIMレベルで、パルス幅はW12で決まります。
- W12調整
NIMレベル出力(OUT1、OUT2)のパルス幅調整つまみです。最小2.5nsから約100nsまで可変。
- OUT3出力 QLA-P 50Ω
TTLレベル出力です。50Ωドライブ可。パルス幅はW3で決まります。
- W3調整
TTLレベル出力のパルス幅の調整つまみです。最小5nsから約200nsまで可変。
- RSTボタン
内蔵マイコンが発狂したときに押す秘孔
- VMEファンクション
- アドレスは32ビット(拡張)および24ビット(標準)をサポートしますが、本デバイスサポートは32ビット(拡張)用です。
- AMコードは0x0D(拡張特権)と0x3D(標準特権)をサポートしますが、本デバイスサポートは0x0D用です。
- A32D16、D32およびA24D16をサポートします。本ボードで連続8ワードを占有します。
TD-4V(17K44B)ボードのI/Oマップは以下の通りです。
Address | R/W | F | E | D | C | B | A | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0
|
---|
0x*******0 | W | Delay Preset
|
0x*******0 | R | Delay Preset readback
|
0x*******4 | W | N/A | Inhibit
|
0x*******4 | R | N/A | OUTPUT | START | RF | Ext Inhibit | Enable
|
OUTPUT、START、RF、Enableは0で正常(OK)、Ext Inhibitは0でInhibitなし。つまり、
出力が出ている時のステータスはすべて0となります。Inhibit出力は1でinhibitです。
本デバイスサポートは、EPICS R313で開発したものです。EPICSそのものに対する説明、入門出家入道遁世については専門家に帰依するなり、コントロールグループのページをご参照なさるなり勝手になさってください。動作はPPC750/68K40で確認しています。なぜかPPC603では正常に動作しないようです。
コードのみを以下に示します。
dbdファイルの中で次のように定義します。
device(longin,VME_IO,devLiTd4v,"TD-4V")
device(longout,VME_IO,devLoTd4v,"TD-4V")
device(bo,VME_IO,devBoTd4v,"TD-4V")
device(bi,VME_IO,devBiTd4v,"TD-4V")
device(mbbiDirect,VME_IO,devMbbiTd4v,"TD-4V")
初期化ファイル中で、td4v_num_linksを使用するTD-4Vの数に合わせます。アドレスは
1枚目が0x21000000、2枚目が0x210000010となります。違うアドレスを使用したいときは、
devTd4vConfigで使用枚数とベースアドレスを設定してください。
このデバイスサポートで使うデータベースをまとめると、以下の様になります。
Record | DTYP | Signal | Name | Function
|
---|
longout | TD-4V | 0 | $(USER):TD4:PRESET | プリセット値
|
longin | TD-4V | 0 | $(USER):TD4:PRESET_R | リードバック
|
bo | TD-4V | 0 | $(USER):TD4:ENABLE | 0でenable、1でdissble
|
mbbiDirect | TD-4V | 0 | $(USER):TD4:STAT_R | ステータス
|
bi | Soft Channel | N/A | $(USER):TD4:START_R | スタート信号 入力あれば0
|
bi | Soft Channel | N/A | $(USER):TD4:RF_R | クロック信号 入力あれば0
|
bi | Soft Channel | N/A | $(USER):TD4:ENABLE_R | Enableであれば0
|
bi | Soft Channel | N/A | $(USER):TD4:INH_R | 外部Inhibit 入力あれば1
|
bi | Soft Channel | N/A | $(USER):TD4:OUTPUT_R | 出力が出ていれば0
|
scanしているのはPRESET_RとSTAT_Rだけで、biの信号はSTAT_Rをsoftwareで分けただけです。標準データベースは
/users/tobiyama/epics_ppc/fbppcApp/Db/FB_TD4X.db
です。
TD-4Vを4台使用するときは、スタートアップファイルに
td4v_num_links=4
dbLoadRecords("/users/tobiyama/epics_ppc/fbppcApp/Db/FB_TD4X.db","USER=FBH:MEM:X , CHAN=C0")
dbLoadRecords("/users/tobiyama/epics_ppc/fbppcApp/Db/FB_TD4X.db","USER=FBH:MEM:Y , CHAN=C1")
dbLoadRecords("/users/tobiyama/epics_ppc/fbppcApp/Db/FB_TD4X.db","USER=FBH:MEM:Z , CHAN=C2")
dbLoadRecords("/users/tobiyama/epics_ppc/fbppcApp/Db/FB_TD4X.db","USER=FBH:MEM:P , CHAN=C3")
の様に指定します。
VME Timing Delay TD-4Vの使用法及びEPICSデバイスサポート、データベースについて紹介しました。こちらで実測した性能は
実験条件
- 2001年3月5日測定 室温は22°で通常の空調機による制御。
- RF 508.887MHz / 1.3dBm
- Start 1/5120 *RF
- HP 54121T 20GHz sampling oscilloscope
- power onから〜4hで測定開始、終了まで〜2h
出力ジッター
sampling oscilloscopeのhistgram機能を使い、TD-4V出力をトリガーにして入力
RFのzero cross分布を測定。

delay 1〜5118までで3.1ps〜3.2ps、systematicsなし。非常に低ジッターである。オシロスコープのトリガージッターが2.5ps程度なので、実質2ps程度のジッター。
出力phase
- 全体図

測定はdelay=1から開始し、順にdelayを上げていった。青い四角は測定終了時にもう一度測った物で、ドリフト分は約3.5ps。カウンターが大きく変わるところで1ps程度のジャンプをするところもあるが、全体としては極めてフラット。
- delayが小さいところの拡大

delayが小さな所はやや変動があるが、おおよそ5以降はほぼ1〜2psの変化にとどまっている。
- delayが最後に近いあたりの拡大

delayで5116、5117、5118が飛んでいる。多分、最終段のラッチ回路に入るカウンター出力のタイミングがdelayが小さな時と比べて大幅にずれてしまいラッチが効かないのだろう。
という結果となりました。全般的に非常に精度の良いカウンターであることが分かります。
海外のいくつかの研究所でもお使いいただいています。
Makoto Tobiyama
8/Mar/2001
Return to FB Home Page...